全国新酒鑑評会、山形が1位 酒米「雪女神」が存在感

関係者歓喜「一丸となって育てた」

 山形県内の酒蔵は全国新酒鑑評会で20銘柄が金賞に輝き、都道府県別の受賞銘柄数で9年ぶり3度目の「日本一」に輝いた。同県初の大吟醸用酒造好適米として開発された「雪女神」が受賞酒の半数で使われ、大きく貢献した。

 

 「酒蔵や農家が一丸となって育てた酒米が金賞に結び付き、感激した」

 雪女神を使った純米大吟醸酒「秀鳳」が初の金賞を受賞した秀鳳酒造場(山形市)の武田荘一代表は、喜びをかみしめた。県酒造組合の理事として雪女神の開発段階から携わり、「(代表的な酒米の)山田錦が『王様』なら雪女神は『女王』だ」と胸を張る。

 雪女神はそれぞれ山形、宮城県で開発された酒米「出羽の里」「蔵の華」を掛け合わせた品種。県工業技術センターが2010年度に開発に着手し、17年に本格デビューした。雑味につながるタンパク質が少なく透明感があり、すっきりした味わいの酒に仕上がる。

 ただ、鑑評会で金賞受賞酒の多くを占める山田錦の膨らみのある味わいと比べた際、線の細さがマイナスとされてきた。県工業技術センター(山形市)の石垣浩佳食品醸造技術部長は「雪女神に合うこうじ作りを酒蔵と一緒に研究したことが功を奏した」と「勝因」を分析する。

 県酒造組合の仲野益美会長は「雪女神が賞を取れる酒米だと全国にPRできた。福島県をはじめ、東北各地の各酒蔵と競い合ってさらに質を向上させたい」と語った。

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