全市区町村に「こども家庭センター」設置…子育て世帯支援を一元化、政府が法改正案

政府は、子育て世帯を包括的に支援する「こども家庭センター」を全国の市区町村に設置するため、関連法案を改正する方針を固めた。現在は二つに分かれている支援機関を一本化し、自治体に設置の努力義務を課す。2024年4月以降の設置を目指し、今国会に児童福祉法と母子保健法の改正案を提出する。

 市区町村には現在、母子保健法に基づき、妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受ける「子育て世代包括支援センター」と、児童福祉法に基づき、虐待や貧困などの問題を抱えた家庭に対応する「子ども家庭総合支援拠点」が併存している。21年4月時点で、支援センターは全市区町村の9割を超す1603市区町村で設置済みだが、支援拠点は4割弱の635市区町村にとどまる。

 これまで二つの機関で情報が十分に共有されず、支援が届かない事例が指摘されていた。このため、政府は組織を統合して体制を強化することで、支援が必要な家庭の見落としを防ぐ必要があると判断した。

 児童福祉法の改正案では、こども家庭センターを「全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う」機関と位置づけた。23年4月に内閣府の外局として創設される「こども家庭庁」が所管する。

 センターでは、家族の介護や世話を日常的に担う「ヤングケアラー」や虐待、貧困、若年妊娠など、問題を抱える家庭に対する支援提供計画「サポートプラン」を作成する。家庭を訪問し、家事や育児の援助を行うことも想定している。

 子どもが家庭や学校以外で安心して過ごせる居場所づくりの支援や、保護者が育児の負担を軽減する目的で利用する一時預かり施設の紹介も行う。虐待の疑いがある家庭について児童相談所に伝えるなど、他の機関との連絡調整の役割も担っていく。

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