全日空と日航が地上業務で連携、仙台空港で開始 人手不足に対応する

全日本空輸と日本航空は4月に仙台空港など全国10空港で、グランドハンドリング(グラハン)と呼ばれる地上業務に必要な社内資格の相互承認を始めた。一方の社の資格を持っていれば、短時間の座学で他方の資格も取得できる仕組みで、地上業務の人手不足に対応する。14日は仙台空港で相互承認による業務の様子が報道機関に公開された。

 両社がグラハン業務を委託する日本通運(東京)の社員で、相互承認を受けた千葉晃史さん(30)が背中に「ANA」の文字が入った黄色のビブスを着て、到着した日航機に誘導棒を振り、停止位置まで導いた。

 千葉さんは航空機を誘導するマーシャリング業務で全日空の資格を持っていて、4月に座学講習に参加して日航の資格を取得した。従来は必須だった実地訓練は免除された。「新たな資格が効率的に取れて、仕事の幅が広がる」と話した。

 全日空と日航はマーシャリングのほか、航空機の地上移動、貨物の積み下ろしなどに関する七つの資格で相互承認に取り組む。これまでは、ほぼ同じ内容の業務でも各社の社内資格を持つ必要があり、講習や訓練もそれぞれが実施し、人材育成に時間を要していた。

 両社は今後、相互承認する資格の拡大とともに、将来的な社内資格の統一も視野に検討を進める。全日空の担当者は「業務の効率化により、サービスを安定的に提供できる体制を構築したい」と話した。

 日通仙台空港総代理事業所営業2課の鈴木浩司課長は「今までにない会社の垣根を越えた取り組み。早く現場で働けるようになり、若手社員の意欲向上にもつながる」と期待を寄せた。

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