全農宮城・概算金 ひとめぼれ8000円台後半か

全農宮城県本部は9日、運営委員会を開き、農家から販売委託を受けた際に前金として支払う2010年産米の概算金について協議した。主力品種のひとめぼれで、09年産の概算金1万2300円(60キロ、1等米)を大きく下回る8000円台後半を提示したとみられる。提示価格をめぐって、出席した農協組合長から異論が相次ぎ、結論を持ち越した。10日に再度、協議する。
 ササニシキ(昨年1万2300円)の提示価格もひとめぼれと同価格の8000円台後半、まなむすめ(1万1800円)は8000円台前半とみられる。
 大幅な引き下げ提案となったのは、全国的なコメ余りで、この先も価格下落が見込まれることに加え、09年産米の販売が宮城は特に不振だったことが影響している。
 宮城県本部が各農家から集荷した09年産米計22万トンのうち、6万トン程度は売れ残る見通しだ。
 持ち越し在庫となった分は古米などとして値引きして売ることになる。既に販売した分でも原価割れが相当あり、09年産米の販売全体で見込まれる30億円規模の赤字処理費用を、10年産米の概算金から確保せざるを得ない事情がある。
 運営委員会には、県内農協組合長ら15人が出席。全量販売を目指した低い概算金設定に一定の理解を示す委員がいる一方で、「概算金が低すぎて農家への説明がつかない」「農協への集荷が進まなくなるのではないか」といった懸念も相次ぎ、結論を持ち越したという。
 千葉和典本部長は「コメ価格の下限が見えない中で、概算金は大幅に下げざるを得ない。販売状況を見て、概算金を上乗せすることも考えている」と話している。
 東北では、全農秋田県本部が7日、主力品種のあきたこまちの概算金を内金の形で前年より3300円安い9000円に決定した。
◎福島は2300~4400円減
 全農福島県本部は9日、2010年産米の全銘柄の概算金を販売環境の悪化などを理由に、前年に比べ2300~4400円と大幅に減額することを決めた。
 主力銘柄のコシヒカリが、会津1万円、中通り9400円、浜通り9300円で、前年比2400~2600円の減額となった。
 ひとめぼれは、会津8000円、中通り7900円、浜通り7800円で、3800~3900円低い。
 大幅な引き下げについて、農協幹部の1人は「これではコメ農家の誇りを傷つけ、生産意欲をそぐ。集荷にも影響するのではないか」と納得がいかない様子だった。
 全農県本部は「現時点では取材に対応できない」と話している。

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