新型コロナウイルスの感染者が急増している兵庫県の井戸敏三知事は24日に記者会見を開き、大阪府を含む県内外の往来自粛を31日まで継続するよう要請した。兵庫県では全国最多の6か所でクラスター(感染集団)が相次いで確認され、さらなる感染拡大を抑え込めるかが課題となっている。
兵庫県の感染者は今月1日に初めて確認されて以降増え続け、24日午後9時現在、亡くなった6人を含め120人。福祉施設、病院、認定こども園などでクラスターが確認されている。
最大のクラスターは介護老人保健施設「グリーンアルス伊丹」(伊丹市)で、利用者や職員、家族ら49人が陽性と判明している。感染者の入院先の宝塚第一病院(宝塚市)にも感染が連鎖し、同病院では医師と患者計6人の陽性を確認。24日にもグリーンアルス伊丹での感染者を診察した県立西宮病院(西宮市)の研修医の感染がわかった。
感染症の広がりは感染者1人がうつす平均人数「実効再生産数」で示され、値が「1」を上回れば、感染が拡大中とされる。
政府の対策本部の専門家から兵庫県が「1」を超えていると指摘された井戸知事は19日、当面の間の往来自粛を要請。24日に開いた県の専門家会議の議論を踏まえ、月末までの継続を判断した。
一方で、兵庫県の感染者の7割超は、クラスターが確認された各施設の利用者やその家族だ。感染者増は、濃厚接触者の捕捉、検査が進んでいる側面もある。感染ルートがたどれない感染者はまだ限定的で、一時は1日10人を超えていた新たな感染者も、この1週間は1桁にとどまっている。
24日の会見で井戸知事は「クラスターの状況は収束しつつある」とし、「(要請は)不要不急の接触機会を減らそうというメッセージ。通勤や通学、約束している予定まで制限するものではない」と説明した。