羽鳥慎一や西尾由佳理、夏目三久、山本舞衣子、宮崎宣子……アナウンサーたちが続々フリーとなって流出している日テレだが、番組制作スタッフたちも“逃げ腰”だ。ある番組プロデューサーは年々下がっていく給与への不満から他局への移籍を相談中で、「もしダメだったとしても、会社を辞めることに変わりはない」と漏らしている。
日テレ関係者に聞くと、こうした傾向は局内全体に広がっており、仕事への情熱にも影響し始めているという。
「ディレクター以下の番組スタッフの場合、すぐに会社を去るような余裕はないですが、ほかにいいところがあればと、実益を兼ねた、会社には内緒のアルバイトが横行しているんです」
関係者が明かした実例では『ネプ&イモトの世界番付』や『解決!ナイナイアンサー』でディレクターを務めているX氏が現在、空いた時間を利用してインターネット系テレビ局でのバラエティ番組の制作を請け負っており、周囲には「待遇次第では、本職をこっちにしたい」と漏らしていたという。
「いまや彼は名刺を2種類持っているほどですが、問題はこういうバイトによって、本業の制作が手抜きになること。例えば『世界番付』なら、たくさんの外国人に事前のインタビューをきっちりやって本番用のネタ集めをするんですが、バイトのせいで以前と比べて半分ぐらいの時間しか割かなくなっていると聞きます。結果的に跳ね返ってくるのは、日テレの番組クオリティなんです」(同)
さらに、このX氏の場合は親しいAD数名にも声をかけてグループごとにバイトを行っているというから、局に対する影響は小さくない。
「ADのレベルになると大半は安い給料に不満を持っているので、声をかけられたら、ほぼ全員が応じてしまいます。それと、日テレ内の情報が外に漏れやすくなるリスクも増えますね」(同)
もしかすると、実質的な損失はアナウンサーの移籍よりも大きいかもしれないスタッフの隠れバイト傾向。現時点では「見つけて摘発したところで、辞められたら穴は大きくなるだけ。個別に調べたり規制する手段もない」と関係者。
最近はニコニコ動画などテレビ局のライバルも勢いを増しており、テレビ局からの転職組の姿も目立っている。新賃金制度に反対するストもあった日テレ、人材流出は広範囲で続きそうだ。
(文=鈴木雅久)