円の通貨としての実力が約50年ぶりの水準に低下した。国際決済銀行(BIS)が17日発表した今年1月時点の円の「実質実効為替レート」(2010年=100)は67.55となり、1972年6月(67.49)以来の円安水準となった。円の対外的な購買力の低下を示しており、輸入コストの上昇を通じ景気に悪影響を及ぼす懸念がある。
実質実効為替レートは、「ドルと円」など特定の2通貨間の為替レートとは異なり、総合的な通貨の実力をみる指標。BISは約60カ国・地域の為替レートや貿易量、物価変動などを考慮して算出した。
BISによると、円の実質実効為替レートは95年4月の150.85が最高。その後は、海外に比べ物価や賃金が上がらない中、円安を志向する政府・日銀の政策を背景に低下が続き、ピーク時の半分以下にまで落ち込んだ。
[時事通信社]