円安に強い「輸出関連株」41社 海外売上高比率100%で円安メリット享受する銘柄も

日米の金利差が拡大する中、当面は円安基調が続くとみられている。急ピッチで進んだ円安は、すでに物価高へとつながり、家計にも大きな影響を及ぼしている。一方で、円安がメリットにつながる企業の株に投資すれば、家計へのダメージを抑えることができる可能性がある。

 なかでも自動車をはじめ輸出関連企業では、海外で稼いだ収益を円に戻す際、円安が進むほど為替差益が増える。そうした「円安メリット」は海外売上高比率が高い銘柄ほど大きくなってくる。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はこう言う。

「浮体式の原油生産貯蔵設備を建造し、世界の石油会社にリースする三井海洋開発は、海外売上高比率が100%なので、円安メリットをフルに享受できる。ミニショベル主体で海外売上高比率が98%の竹内製作所、小型モーターの世界シェア5割以上を持っているマブチモーターなども円安メリットの大きい銘柄といえます」

 脱炭素社会に向けた世界的な流れが高まるなか、EV(電気自動車)シフトなど環境対応を進める自動車関連は、円安が売り上げをさらに後押しする。こころトレード研究所所長の坂本慎太郎氏が語る。

「米国の売上高比率が高いSUBARUは為替感応度が高い。日産ルノー系列でEVに強みを持つ三菱自動車、欧州の売上高比率が高いマツダも、円安が追い風となるのは間違いないでしょう」

 圧倒的な技術力で高い世界シェアを持つ「世界と戦える日本企業」は、円安で価格競争力も高まり、ますます注目だという。

 そんな視点から坂本氏と戸松氏は、車載向けなどのアルミ電解コンデンサーで世界シェア首位を誇る日本ケミコン、スポーツ用自転車の部品で世界シェア首位のシマノ、スマホや自動車向けの小型旋盤の製造を手がけるツガミの3社を挙げた。

「日本ケミコンはEV向けに販売拡大を続けており、今後の株価上昇が期待されます」(坂本氏)

「シマノは釣り具も手がけ、世界的な健康志向の高まりから自転車部品販売も堅調で好業績です。ツガミは中国を中心に海外売上高比率は91%に上るため円安の恩恵を受ける銘柄でしょう」(戸松氏)

 経済アナリストで日本金融経済研究所代表理事の馬渕磨理子氏も、世界と戦える日本企業に注目する。

「金属ホックで世界首位のモリトはアパレル向けのほか、車内装品も手がけることからEV需要の恩恵も期待できる。

 世界トップの高級ヘルメットメーカー・SHOEI、業務用・家庭用エアコンで世界最大手のダイキン工業なども、メイドインジャパンの品質の高さを武器に円安が追い風になると見ています」

 今回の円安は、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに転じたことが大きな要因だが、米国の金利上昇が後押しになる銘柄もあるという。

「生命保険会社は米国債を中心に運用しているため、米国の長期金利上昇の恩恵を受ける。大手生保の第一生命ホールディングスに目を向けてもいいかもしれません」(馬渕氏)

 今後の為替動向について、戸松氏や馬渕氏は「円安は1ドル=150円までは進む」と口を揃える。まだまだ円安が進む可能性が高い以上、それを見据えた賢い選択が必要になる。

※週刊ポスト2022年10月21日号

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