円安進行、一時149円台 32年ぶり安値を更新 介入に限界

週明け17日のニューヨーク外国為替市場で円安ドル高が進み、一時1ドル=149円台を付け、バブル景気終盤の円安局面だった1990年8月以来、約32年ぶりの安値を更新した。17日には鈴木俊一財務相らが円安を牽制(けんせい)したことで政府と日本銀行為替介入に対する警戒感が円売りの勢いを鈍くしたものの、介入効果の限界も意識されている。 【グラフでみる】ドル円相場の推移と主な出来事 17日は東京外国為替市場で円相場が148円台後半から始まり、鈴木氏らの発言を受けた介入警戒で下げ渋る場面もあった。ただ、日米の金利差拡大を見込むドル買い円売りの動きが続いて徐々に円安方向に振れ、ニューヨーク市場では149円の節目を超えた。 鈴木氏は17日、「投機等によって過度な変動があった場合には、断固たる措置を取る考えにいささかも変わりない」と述べて為替介入の可能性を示唆。為替政策の責任者である財務省の神田真人財務官も「国際合意の下で過度な変動にしっかりと対応していく」と強調し市場を牽制していた。 とはいえ、15日にはバイデン米大統領が記者団に対し「ドル高を懸念していない」と話し、ドル高容認の姿勢を改めて示した。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁も17日の衆院予算委員会で、日本経済が新型コロナウイルス禍から回復途上にあるとして、経済下支えのため「金融緩和を継続することが適当」との考えを再び説明した。 日米の金利差拡大で運用に有利なドルが買われる流れは当面変わらないとの見方が強く、政府・日銀が再び為替介入を実施しても効果は限定的になりそうだ。

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