円高続くなら…半数が「日本脱出」

 「大企業の半数が日本脱出を検討」-経済産業省は1日、歴史的な円高が産業空洞化を加速させるとの調査結果を発表した。1ドル=76円の円高が半年以上続いた場合、大企業製造業の半数近くが生産拠点などを海外に移すとし、実際に2割近くが諸外国から誘致を受けていることが分かった。
 大企業製造業61社を対象にした調査では、76円水準での円高が半年以上続いた場合の対応策として、46%が「生産工場や研究開発施設を海外に移転」を挙げた。各社は為替予約によるリスクヘッジや経営努力でコストを削減しているが、海外への脱出が現実的な選択肢になっている。
 実際、18%は「諸外国から海外進出の誘致を受けている」と回答し、相手国は中国、韓国などアジア諸国が半分以上を占めた。
 76円の円高が足元の業績に与える影響については、大企業製造業の15%が、営業利益が20%以上減少する「深刻な減益」に見舞われると答えた。この水準の円高が半年以上続くと、32%が深刻な減益になるとの結果が出た。増益を見込む企業は12%にとどまった。
 減益の要因は、海外で日本商品が実質的に値上がりする一方、国内でも、円高で値下がりする輸入品との競争が厳しくなるためだ。
 政府は迅速な円高対策が求められるほか、政府への要望では、「継続的な為替介入」「法人税減税」-などが挙がった。
 中小企業製造業83社、非製造業10社の調査でも、円高が半年以上続けば、33%が深刻な減益になり、28%が海外生産比率を増やすと回答し、13%が諸外国から誘致を受けていた。調査は8月22日から26日にかけて行われた。

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