仙台市は12日、東日本大震災で地盤崩落や擁壁倒壊などが多発した丘陵部宅地のうち、甚大な被害が生じた青葉区折立5丁目、太白区緑ケ丘4丁目、泉区松森陣ケ原の3地区について、現地再建か集団移転かを3月までに判断する方針を明らかにした。
青葉区内で同日開かれた「折立団地東部町内会被災復興の会」の集会に、市の担当者が出席。市は「国の造成宅地滑動崩落緊急対策事業が実際に動きだす時期や公費による建物解体の期限を踏まえ、遅くとも3月には対応を決めたい」と述べた。
現地再建か集団移転かの判断材料とするため、2月に3地区の約180宅地の地権者らを対象にアンケートを行い、意向を把握する。
一方で市は「1978年の宮城県沖地震で被災したかどうかが重要なポイント。折立地区は復旧可能と考えている」との見解を提示。測量やボーリング調査、境界画定などを経た上で設計に入り、地滑り抑止対策のくい打ち、擁壁再建といった手順を考慮すると、完了までに1年半程度かかるとの見通しを示した。
市内の被災宅地4031カ所のうち、公費による復旧工事の対象となる約3000カ所を約300地区に分け、一斉に事業着手する考えも伝えた。
市は、市宅地保全審議会技術専門委員会の議論などを基に、被災宅地の復旧策を協議している。現地再建を基本とし、技術専門委で集団移転も視野に入れた対処方法の検討を指摘された3地区については、より柔軟に考査している。