政府は、国内約1万2000社に、太陽光など、二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギーの導入目標の策定を義務付ける方針を固めた。化石燃料に代わって再生可能エネルギーの活用を促し、脱炭素に向けた企業の取り組みを後押しする。 【図表】脱炭素やエネルギー政策の各党公約
対象になるのは、エネルギーの使用量が原油に換算して、年間1500キロ・リットル以上の企業。来年の通常国会に、省エネ法の改正案を提出する。最短で2023年春の施行を目指す。国会審議と並行して、経済産業省の審議会が細かいルールを詰める。
改正後、対象企業は、工場やオフィスなどのエネルギーの使用量に占める再生エネなどの割合を示した目標を定める必要がある。企業は年1回、政府に取り組み状況を報告する。政府は企業の取り組みが不十分だと判断すれば、立ち入り検査や助言を行う。従わなければ、企業名の公表や罰金を科す罰則も設ける。
エネルギーの使用量を計算する時に、電力使用のピークをずらす取り組みも高く評価する。再生エネの供給に余裕がある時間帯に電気を使えば、使用量を従来より少なく換算できる。冬場など、需給が逼迫(ひっぱく)している時間帯に使えば、多く見積もらなければならない。
現在の省エネ法は、中長期の計画策定を求めているが、再生エネの使用割合は定めていなかった。対象企業は、目標の達成に応じて、4段階に評価されている。大企業が最上位の「優良事業者」になると、関連する補助金が申請できる。法改正後は、電気使用のピークをずらせば、使用量が抑えられるので、メリットが大きくなる。