再生エネ法 買い取り価格は?

 再生エネルギー特別措置法案の修正案が26日にも成立する。温室効果ガスを排出しない太陽光発電などの普及には新たな一歩となるが、電力会社による買い取り価格の水準をどう決めるかなど、問題点も多い。
 ■買い取り価格は?
 最大の課題は「買い取り価格の決め方が非常に難しい」(自民党の西村康稔衆院議員)という点だ。価格が高ければ電気料金の値上げ幅が大きくなり、低くければ再生可能エネルギーの採算が取れないためだ。
 価格を決める調達価格等算定委員会は資源エネルギー庁の下に設置。委員の選出に衆参両院の同意を求めることなどで価格決定の透明性を担保するが、調整が難航することは確実だ。
 例えば現在の太陽光発電による電力の買い取り価格は1キロワット時当たり40円程度で、政府はさらに価格引き下げを目指す考えだが、大規模太陽光発電の事業者からは「40円以上でないと採算を取るのは難しい」(宮崎ソーラーウェイ)との声もある。価格水準次第では再生可能エネルギーの普及が進まない恐れもある。
 ■買い取り拒否も
 出力が安定しない再生可能エネルギーの電力が送電網に接続されると、電圧や周波数が大きく変動する懸念があるため、法案には電力会社が買い取りを拒否できる条項も残した。
 電圧などの変動を抑制するには送電網の能力を高める必要があるが、買い取り拒否の余地を残した今回の法案では、電力会社による能力増強の取り組みが不十分になるとの懸念もある。
 能力増強費用を誰がどう負担するかも課題だが、細野哲弘資源エネルギー庁長官は「国としてどういう支援を行えるか、いろんな議論をしていきたい」と述べるにとどめている。
 ■優遇措置の線引き
 法案には、電力会社が実施する料金値上げの影響を小さくするため、電力を多く使う産業に対する優遇措置も盛り込まれた。例えば製造業の場合、電力の消費量が平均の8倍を超える事業者に対して、値上げ幅を80%以上減らす。
 ただ、その線引きには異論も多く、みんなの党の山内康一衆院議員は「4倍なら50%減額といった、さまざまなあり方が検討されていい」と指摘している。
 東京工業大学の柏木孝夫教授は「法案成立で再生可能エネルギーの普及の足がかりとなることは間違いない。今後はエネルギー政策全体を考え、より詳細な政策設計を進めることが重要だ」と語った。

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