冥王星に最接近=米探査機、航行9年半―詳細な姿解明に期待

米航空宇宙局(NASA)は14日、探査機ニューホライズンズが日本時間同日午後8時49分、冥王星に約1万2500キロまで最接近したとみられる と発表した。冥王星は月の7割の大きさで氷と岩石質の物質から成り、2006年8月に太陽系の第9惑星から準惑星に分類し直された。初の接近観測で地形や 大気などの詳細な解明が期待される。

ニューホライズンズは06年1月に打ち上げられ、翌年に木星の重力を利用して加速した。昨年12月まで断続的に搭載機器を休ませ、機能を維持。冥王星まで約50億キロを9年半かけて航行した。

最接近の時刻に合わせ、管制室がある米ジョンズホプキンス大応用物理学研究所で研究者らが拍手して喜ぶ様子が、NASAテレビで放映された。

今月に入り冥王星を撮影した画像には、大きな明るいハートや暗いクジラのような形をした所が写っていたほか、クレーターや崖のような地形も見つかった。直径は従来の推定よりやや大きい2370キロと判明した。

最接近時の距離は、地球と気象衛星ひまわり8号の間の3分の1程度で、秒速約14キロ(時速約5万キロ)の猛スピードで通過したとみられる。運用チームは 前後12時間にわたって集中観測する計画で、膨大な観測データは時間をかけて送信される。地球との無線通信は片道約4時間半かかる。

冥王星を通過後、ニューホライズンズは太陽系の外縁に密集する小天体群「エッジワース・カイパーベルト」の探査を計画。昨年、ハッブル宇宙望遠鏡で発見された三つの小天体から次の対象を選び、19年ごろ接近観測を行う。

機体には1930年に冥王星を発見し、97年に死去した米天文学者クライド・トンボー氏の遺灰が入った小さなカプセルが搭載されている。

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