冷凍したのに生ウニ食感!宮城・南三陸「橋本水産」独自加工で実現 「三陸の夏の味、一年中楽しんで」

宮城県南三陸町歌津の水産加工業「橋本水産食品」は、冷凍した三陸産ウニの製造・販売に力を入れている。独自の加工方法で、解凍後に生ウニのように味わえる食感を実現した。同社は「三陸が誇る夏の味覚を一年中、楽しめるようにしたい」と思い描く。

添加物使わず、身崩れなし

 「うにお造り」の名前で1パック60グラム入りで販売している。松、竹、梅の3種類あり、価格は3240~1944円。地元歌津産や青森、岩手県産のウニの身を隙間なく詰めて冷凍した。ミョウバン、食塩などの添加物は使っていない。

 ウニは通常、冷凍すると膨張し、解凍時に破れて身の水分が溶け出して液状になってしまう。これを蒸気で軽く熱を加えてから、急速冷凍するなどの加工方法により、解凍しても身が崩れず生ウニのような食感と甘みが残るようにした。

 同社は仙台市青葉区の百貨店「藤崎」内の常設店を主な販売拠点とし「歌津小太郎」ブランドの魚の昆布巻きなどで知られる。東日本大震災で歌津の本社や加工場が被災し、復興を進める中で千葉孝浩社長(51)は「新たな価値を生み出したい」と考えてきた。

 これまで塩漬けウニ、焼きウニなどを手がけてきたが、2020年2月、広く流通するチリ産の解凍ウニを飲食店で食べたところ意外においしく、「三陸産のウニでも挑戦しよう」と構想。時間や温度、湿度を変えて50パターン以上の加工を試し、21年秋に一部の商品化にこぎ着けた。

 22年はアワビ、タコ、ホヤなどの冷凍刺し身と詰め合わせた特製おせちを藤崎で100セット販売した。今年は通販サイトや店頭販売を拡充。年末に向け、藤崎と東京の京王百貨店でおせちを売り「ハレの日」需要を取り込みつつ、認知度を高めたい考えだ。

 千葉社長は「ライバルは既存のウニ加工品でなく、夏しか食べられない生ウニだ。冷凍ウニで圧倒的な地位を築き、いずれは海外の飲食店向けに輸出したい」と展望する。

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