処理水海洋放出決定、生産・卸売業らの4割「販売動向に影響」 経産省調査

東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出方針決定後、生産者や卸売業など事業者の約4割が「販売先の動向上、何らかの注視すべき動きがある」と認識していることが13日、経済産業省の風評影響に関する調査で明らかになった。

 調査範囲は北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の7道県で、水産業をはじめとする生産者から846件、農水産物を扱う食品小売業などの事業者から2240件の回答を得た。昨年11月25日~12月14日に郵送で実施した。

 生産者のうち約45%が「何らかの注視すべき動きがある」と答えた。複数回答で最も多かったのが「販売価格の低下」で、生産者別の割合はグラフの通り。水産業者は「販売量の減少」も39・1%、「販売条件の悪化」でも18・7%と、どの業者よりも影響を懸念する割合が高かった。

 経産省によると、個別に聞き取り調査した結果、現時点で取引停止や販売価格の低下などの具体例は確認されていない。将来、風評が生じることを心配する声が多かったという。

 風評を防ぐ効果的な取り組みとして、事業者の大多数が「モニタリングデータの分かりやすい公開」(84・3%)や「処理水や海洋放出による影響についての詳しいQ&Aの提供」(77・4%)、「簡単な説明資料の提供」(75・1%)を挙げた。

 調査結果は復興庁が同日開いた「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」で示された。調査を踏まえ、復興庁や経産省は事業者側に対し、海洋放出を理由にした買いたたきの防止などを盛り込んだ協力要請を出す。

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