青森、岩手、秋田、福島4県と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、イチゴの新品種「そよかの」を開発した。東北の冷涼な気候に適し、大粒の実がなり収量も多い。端境期の晩春から初夏にかけても安定的に生産・出荷でき、農家の所得向上にもつながると期待される。
そよかのは多収性の「豊雪姫」と食味が良い「さちのか」を交配して開発した。程よい甘さと酸味が特徴。初夏のそよ風が吹く大地で収穫するイメージが名前の由来だ。
東北の寒冷地、高冷地での露地栽培やハウス栽培に適した品種で、収穫期は5~7月を見込む。果実の重さは1粒平均16グラム。同じ時期に生産される他品種より実が大きい。
イチゴは年間を通して堅い需要がある一方、6~11月には生産量が落ち込む。東北でも6月前後にも出荷されているが、小粒で形がふぞろいだったり、変色したりするなど品質維持面の課題を抱える。
そよかのは変形する個体が少なく、出荷の選別作業時の損失を削減できる。明るい赤色が特徴で、収穫後の変色もない。葉や果実が白くなる「うどんこ病」にも耐性があるという。
農研機構は「生産量が落ち込む時期に出荷できる品種で、農家の新たな収入源にもなり得る。東北の地域ブランドとして多くの人に味わってほしい」と話す。