準大手ゼネコンの前田建設工業(東京)が仙台市中心部で施工したマンションに耐震上の欠陥が多数見つかった問題で、前田は22日、管理組合の理事らと面会し、一連の対応を謝罪した上で建物全体の耐震調査に乗り出すことを約束した。
前田の大野成史法務・コンプライアンス部長は「調査の約束をしたにもかかわらず守らなかったことは、法令上も顧客対応としても重大な問題があった。真摯(しんし)に反省したい。申し訳ありません」と述べ、頭を下げた。
7月21日に住民説明会を開き、調査を始める。費用は全額前田が負担し、計画や工程に組合側の顧問建築士が全面的に関与する。
マンションは2022年3月の福島県沖地震で震度5強の揺れに遭った際、外壁の一部がはがれ落ち、柱を守るために敷設される構造スリットと呼ばれる緩衝材が図面通りに入っていないことが露呈した。
前田は22年9月、建物全体の調査を書面で約束した。しかし、23年5月、建物の安全性に問題がないことを理由に一方的に約束をほごにし、組合が反発していた。
組合が24年1~3月に建物の一部を独自調査し、14カ所で構造スリットの不備を見つけた。うち10カ所で前田も異常を認め、修繕を約束したが、組合が求める建物全体の調査には応じていなかった。
組合を代表して問題の対応に当たってきた住民は「度重なる文書のやりとりや時系列の整理などで大変な思いをした。今後は最後までしっかりと対応してもらいたい」と話した。