勉強が好きになるノートの秘密&秋田県が学力1位の理由

待ちに待った夏休み。子どもたちは毎日が休みだ。しかし、否、だからこそ、小学生の親にとっ ては気をもむ40日間となる。子どもをどう過ごさせようかという問題が発生するからだ。毎日遊びに連れて行くわけにはいかないし、塾に行かせるにはまだ早 いかな、でも家でダラダラしていないで勉強はしてほしい…と頭を抱えてしまうからだ。学校に提出する、「夏休み中の時間の使い方」と題した円グラフを描く 子どもを眺めつつ、どうせならこの休み中に、家で自主的に勉強をする習慣を身につけてほしい、とは思うものの「勉強しろ、勉強しろ」などとは言いたくない なあとため息をつく。これは難問だと思っていたところ、こんな本を見つけた。『最新版やる気スイッチが入る秋田県式家庭学習ノートで勉強しよう!』(主婦 の友社:編/主婦の友社)だ。

タイトルになぜ秋田県が入っているのか? それは、文部科学省が2007年から実施している全国学習テス トで、1位の座を独占しているのが秋田県だからだ。では、なぜ秋田県なのか? 県の教育委員会は、この質問に次のように答えている。「児童生徒の望ましい 生活習慣・学習環境、各学校における授業改善の努力と一人一人へのきめ細かな指導」の賜物であると。具体的には、家庭での、早寝早起き朝ごはん、家庭学習 の習慣、学校での、少人数学習、教員の研修などが挙げられる。さらには、地域が職場体験を積極的に受け入れるなど、家庭・学校・地域が一体となって子ども が勉強する環境を作り出していることも大きい。こうした秋田県の環境は、全国の教育関係者の注目を集め、小中学校の教員が実際に視察に訪れることも多いと いう。それならば、家庭でも真似したい!ということで、秋田県の子どもたちのノートに注目したのが本書である。

ノートといっても、学校 の授業に使うノートではない。秋田県の多くの学校では、授業や宿題とは別に、家庭学習用のノートをひとり1冊用意するように呼びかけている。学年に合った マス目のノートを用意し、毎日このノートで家庭学習をするのだ。目的は、「毎日自分で勉強することが当たり前になること」。秋田県では、ノートを毎日提出 させている学校が多いが、各家庭でやる場合には、親が丸つけまたはコメント出しをするのを忘れずに。子どもに限らずだれにとっても、一生懸命やったことを だれかが見て応援してくれるのは嬉しいものだ。それに、親が子どもの心身の状況を把握できる、というさらなる良い点もある。心身が揺れれば、字の大きさの 乱れなど、紙面のつくりがいつもと違ってくるからだ。また、勉強の内容は、子どもが日ごとに自分で決めるので、やらされているのではなく、自分からやって いるという前向きな気持ちになる。

では、実際にノートの使い方だ。どうやって紙面を使うか、何を書くか、である。紙面は、毎日必ず見開 きを使う。書くのは、まず「日付」。そして「めあて」、例えば、「漢字ドリル○○ページ」などだ。高学年では、勉強を「始めた時間」「終えた時間」も書 く。内容は、国語なら新しく習った漢字や熟語を使った文を書く、ドリルや問題集も使ってよい。算数なら、ドリルを使って計算問題、問題を自分で作ってみる など。社会、理科なら、習ったことを自分なりにまとめ直してみる。そして、最後に「ふりかえり」と題して、その日の感想を書く。「ふりかえり」は、勉強の こと以外の、その日あったことや今の気持ちでもいい。

親は子どもに、自分のような失敗や不幸は味わってほしくないと思い、つい無理に勉 強をさせてしまう。強制的ではなく、親子の交換日記のようなスタイルで、学ぶことが日常に定着してくれたら、確かに理想的。試してみる価値はありそうだ。 目標とする1日の勉強時間は、学年×10分とのこと。親子ともども楽しく実のある夏休みにしたい。

文=奥みんす

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