勘違い掃除が病原をまき散らす 病気にならない清掃術

たかがホコリと思うなかれ。実はホコリは細菌やダニ、カビといった病原体の格好のすみかだ。それを知らないまま“勘違い掃除”をして、部屋中に病原をまき散らしていることがある。室内にはいろいろな細菌や、吸い込むと咳や喘息を引き起こすダニやカビなどが棲息している。病気予防のためには、これらの病原体が付着した“病原ホコリ”の除去が大切だ。

■病気予防に必要なのは“病原ホコリ”を除去すること!

最も衛生管理を徹底しなければならない場所の一つが、病気を治療する施設である病院。その病院の清掃指導を長年行っている松本忠男さんが、病気にならないための掃除として重視するのは、「病原ホコリの除去」だ。

「ホコリの主成分は、衣類から離脱した繊維や綿です。これだけならば病原体濃度は低く、病気の原因にはなりにくいでしょう。しかし、ホコリが堆積すると、そこに細菌やカビ、ダニが繁殖するようになります。それが病原ホコリです。病原体濃度が濃くなり、肺炎や喘息(ぜんそく)などの呼吸器系の病気を引き起こす原因にもなりかねない。注意が必要です」

その病原ホコリを家の中から除去すること、病原ホコリとなる前にホコリを取り去ることが大切なのだが、多くの人がホコリをまき散らすだけの“勘違い掃除”をしているのが実情だ。

■掃除の際に窓を開けてはいけない

例えば、掃除をするときに、部屋の窓を開けること。「ホコリを外に逃がそうとして開ける人が多いのかもしれませんが、窓を開けると、風が入ってきて、部屋の中のホコリが飛散します。ホコリを集めて取り去ろうとしているのに、まき散らすことになってしまうのです」



フローリングの床を掃除するときに、フローリングワイパーを素早く動かすのもNG。「時短を目指して急ぐ人が多いようですが、ホコリは、人間の体が動いたときに起こる風によっても飛散します。急いだ分、体が激しく動き、風が強まって、ホコリが多く舞ってしまうのです」



ホコリを掃除するときは、ホコリを舞い上げないよう、「ゆっくり動く」が鉄則だ。

■ぬれた雑巾でホコリを拭くのはNG
さらに、ぬれた雑巾でホコリを拭くのも勘違い掃除。「しっかり取れると思うのかもしれませんが、ホコリを床に塗り広げているだけ。乾いた汚れは、乾いたシート、クロスで取るのが正解なのです」

【掃除機を使うなら、
排気口の位置が高く、コードレスの機種で】

掃除機の難点は排気がホコリを飛散させること。排気口が床に近いと床のホコリを舞い上げるから、排気口の位置が高いスティック型のほうがお薦め。また、床をはうコードの動きもホコリを舞い上げる要因。コードレス掃除機を選びたい。排気口が床に近いロボット掃除機を使うなら、ホコリがたまる場所はフローリングワイパーで拭こう。
(文 中村陽子、イラスト 二階堂ちはる)
松本忠男さん
医療環境管理士。プラナ代表取締役。亀田総合病院グループの清掃管理者を経て独立。病院清掃の現場で体得したノウハウをもとに医療、介護施設などで掃除指導を行う。著書に『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)など。 [日経おとなのOFF 2018年12月号記事を再構成]
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