化学調味料が怖い…家族を巻き込む“オーガニック信仰”

体にいいものを食べたいと、オーガニックな自然食材などを愛好する女性は少なくない。それはいいのだが、度を越した「信仰」で周囲を振り回す人もいる。振り回された“被害者”に話を聞いた
◆カップ麺に妻激怒! 突き飛ばされた夫
 オーガニックに傾倒すると、最も被害を受けるのは同居する家族だ。拓己さん(仮名・35歳・商社)もそんな被害者の一人。
「妻が芸能人のブログやテレビの影響をもろに受け、いつの間にか『化学調味料が怖い』が口癖のオーガニック女になっていました」
 のめり込むあまり、夫をも巻き込む騒動へと発展していった。
「女友達との旅行から帰ってきた妻の様子がおかしかったのが始まりです。なんでも、『旅行中の食事すべて添加物たっぷりでまともに食べられずひたすら空腹に耐えた』と、愚痴に付き合わされました」
 そして“事件”は突然起きた。
「話を聞きながら夜食のカップ麺を食べ始めたら、『なんで誰も彼もそんなもの食べられるの!?』と、突き飛ばされ熱湯まみれの大騒ぎ。ストレスが噴き出したんだろうけど、もうついていけません」
 行きすぎる“信仰”は夫婦の溝さえ簡単に作り出してしまう。
◆母の“洗脳”で水道水を飲めない体に
 アパレルに勤める梨華さん(仮名・27歳)は、猛烈なオーガニック狂いの母親に育てられた。
「水道水は飲むな、スナック菓子やコンビニ弁当なんて言語道断、が母の教育でした」
 小学校時代、クラスメイトが放課後にお菓子の買い食いを楽しむなか、梨華さんだけは頑なに食べなかった。
「当時はお菓子を毒だと思っていたから、そんなものを食べる友達が信じられませんでした。そうしたら、グループの中でも浮いた存在になっちゃって」
 結果、仲の良かった友達とは疎遠になってしまった。しかし彼女はオーガニック魂をしっかり受け継いで成長。いまだに料理の際はミネラルウォーターしか使えないという。
「幼少期の教育の影響は大きくて、今でも水道水はどうしても無理。たまに、みんなで料理をすることがあると誰かしら水道水を使うから、息を止めて我慢して食べます。ここまで神経質になったのは母のせいですよ!」
取材・文/青山由佳 中村未来(清談社)

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