仙台市青葉区一番町のファッションビル「仙台フォーラス」が来年3月から長期休業に入るのを前に、地下2階で営業する大衆中華料理店「北京餃子(ぎょうざ)」が一番町周辺で移転先を探している。新型コロナウイルス禍からの経済活動再開などに伴う賃料や事業費の高騰で、難航しているという。
物件決定は10月が期限
運営する船田食品製造(宮城県利府町)で営業責任者を務めている船田洋さん(43)によると、会社員ら常連客や店の料理人が通いやすいといった条件に当てはまる一番町のほか、仙台駅周辺で30坪程度(約100平方メートル)の物件を調べている。
北京餃子は従業員の人件費や「多い、安い、うまい」を合言葉に、提供する料理の価格を重視しており、予算に見合った物件が見つからないという。そもそも空き店舗が少ない上、内装がない物件の場合は工事も必要になり「想像の2倍以上の費用がかかる」(船田さん)と頭を悩ませる。
開店までの準備期間を考えると、10月が移転先決定の期限となる。「職人たちをほかの店に手放してしまったら、もう集めることはできない。1回休業してから再開するのは不可能」と船田さん。条件に合う物件があれば、ビルの劣化調査に伴う仙台フォーラスの休業が始まる来年3月1日を待たずに移転する可能性もある。
クラウドファンディングも視野に
「仙台のソウルフード発信地」で知られる北京餃子は半世紀近く前の1977年に開店し、学生らに看板商品の広東焼きそばが愛されてきた。
船田さんは「続けたいのはやまやまだが、店舗が見つからない」と営業継続の危機を口にする。クラウドファンディングによる資金集めも考えており、「良い知恵があれば、ぜひ教えてほしい」と協力を呼びかけている。