‘09年までは、「ホワイト家族」のようなミニドラマ形式のCMが多かったが、’11年を境に数を減らし、現在は意外性を狙ったCMが増えている。たとえば、KINCHOの住宅用洗剤「ティンクル」には、北斗晶のそっくりさんがずらり。その中には、久保田輝くんという男子中学生までが並んでいる。
「最初はCMのオーディションとしか知らされていませんでした。まさか女装するとは……。北斗さんは全員が女性出演者だと思っていたみたいで、いちばん驚いていましたね。僕と息子の健之介くんが同い年だったので可愛がってくれました」(久保田くん)
また、株式会社リクルートライフスタイルの「ホットペッパーグルメ」のCMでは、3人の偽スギちゃんが登場し、今年の流行語大賞に輝いた「ワイルドだろぉ」をモノマネする。一見すると彼らのほかに目立った仕掛けのない作品に見えるが、実は4つのトリビアが隠されている。
(1)偽スギちゃんの袖なしジージャン3着は、SMAPのスタイリストの手作り。(2)唐辛子のキャラの声はパフィーの大貫亜美が担当。(3)「ホットペッパーグルメ」の事業部長が宴会会場にまじっている。(4)宴会料理は、伊丹十三監督『たんぽぽ』で料理スタイリストを務めた石森いずみが監修している。(5)そして、このCMの最後に1秒だけ、本物のスギちゃんが出演しているのだ。
さて、昨今このようなアイデア勝負の”意外性CM”が多くなったのはなぜだろう。その理由をニホンモニター(株)の調査担当者が次のように解説する。
「従来は知名度の高いタレントを起用することで、CMの放送前に取材をさせて話題作りをする手法が主流でした。ただ近年は、制作コストも減少傾向にあるうえに、インターネットの普及でタレントを起用する必要が薄れてきたんです。それに、ドラマCMはタレントが複数必要なのでコストがかかる。近年ではツイッターやフェイスブックなどで拡散させるほうが話題になりやすいことから、意外性重視の作り方が増えはじめています」