北海道内でコンブの生産量が低迷している。道によると、2017年の生産量は20年前のほぼ半分の1万5千トン(速報値)だった。漁業者の高齢化に加え、人手不足で水揚げしたコンブを洗ったり乾燥させたりする作業に携わるアルバイトを確保しづらくなっていることが背景だ。資源は潤沢にあるものの、十分に採りきれないケースも出ている。(経済部 五十地隆造)
日高昆布の産地として知られる日高管内えりも町。毎年7~10月、漁業者が小型船に乗って専用のさおで最長7メートルほどのコンブを採った後、浜に近い干場でアルバイトが砂利の上に1枚ずつ並べて乾かす。コンブを干さずに置いておくと、くっついて固まってしまうため、採ったその日に作業を終えるのが基本だ。
同町で20年以上コンブ漁を営む佐々木優さん(44)によると、父親が漁をしていた30年ほど前は、親戚や本州の大学生ら7人を雇い、多いときには年15トンを生産していたという。しかし、最近は思うようにアルバイトが集まらず、ようやく確保した3~4人で年2トン程度を生産。1万円ほどの日給を払っているが、地元では仕事が天候に左右されないスーパーなどを選ぶ人も多く、「干せる量に限界があるので、コンブを採りすぎないよう注意している」と顔をしかめる。
道によると、全道のコンブ生産量は1962年の3万5千トンをピークに減少傾向が続き、06年に2万トンを割った。17年は前年より千トンほど増えたものの、97年の2万9千トンと比べるとほぼ半減している。
これは漁業者を含む地域の人口が減り、景気回復に伴う人手不足で働き手が確保しづらくなっていることが大きい。道漁連によると、道南や道東など全道のコンブ産地が同様の悩みを抱えているという。
道産コンブの生産減少による仕入れ値の上昇を受け、食品製造販売大手のフジッコ(神戸市)は3月から、道産コンブを原料とする37品目について、価格据え置きのまま内容量を減らす実質値上げを行う。
2012年以来6年ぶり。主力商品のつくだ煮「ふじっ子煮」シリーズは199~227円(税別)の価格を維持する一方、内容量を4グラム少ない83グラムにするなど4%前後減らす。だし用コンブやとろろコンブも価格は据え置くが内容量を約1割減らす。