北関東の観光地、東北からの誘客に力 GoTo除外の首都圏からシフト

数多くの観光名所を抱える北関東の自治体が、東北に熱い視線を送っている。政府の観光支援事業「Go To トラベル」が東京を除外して始動する中、首都圏に比べて新型コロナウイルスの感染者が少ない東北に照準を合わせた格好。誘客の動きは、秋口の修学旅行にも波及しつつある。

 東京・永田町にある茨城県東京渉外局。都内に支社や支店を置く宮城、福島両県の企業を回り、積極的に茨城の観光情報を発信している。
 PR・誘致チーム主任の富田恭輔さんは「本来は首都圏からの誘客が主な業務だが、新型コロナの流行で状況が厳しく、ターゲット層を東北に移している」と言う。東京電力福島第1原発事故で不通だったJR常磐線が3月に全線復旧し、「アクセスの改善を追い風に誘客策を強化する」と意気込む。
 緊急事態宣言発令中に迎えたゴールデンウイークの観光客入り込み数は、県全体で約7万人と前年同期比で97.9%減った。富田さんは「筑波山や花園渓谷などが紅葉の見頃を迎える時期に向けて盛り返したい」と話す。
 隣の栃木県も東北に秋波を送る。遊園地「那須ハイランドパーク」といったレジャー施設が多い那須町は、東北の旅行代理店への訪問を強化している。秋には宿泊施設などで使えるクーポンを発行し、県内外からの誘客を促す作戦だ。
 町観光商工課は「東北とは高速道路で直結し、魅力的な誘客エリア。これまで少なかった修学旅行のオファーも増えつつある」と喜ぶ。
 日光東照宮など神社仏閣が魅力の日光市も今後、東北へのPR強化を検討する。市観光課は「県内の観光需要を喚起しながら、東北を含む近隣県に対象を拡大していく」と見据える。
 仙台市では、秋の修学旅行の行き先を首都圏から北関東に切り替える動きが出始めた。市教委によると、市立中64校のうち約半数が日光市、那須町などを行き先として検討中だ。
 市教委教育指導課の担当者は「まだ実施を迷っている学校も多いが、全体的に感染者の少ない近隣県への訪問を模索している」と説明する。

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