インターネットを通じて外国人を名乗る異性と知り合い、親密になってから金をだまし取られる「国際ロマンス詐欺」。今年は山形県内で7月末までに8件発生していることが、県警のまとめでわかった。被害総額は約4500万円に上るが、いずれも解決には至っていない。
県警捜査2課によると、今年1月から7月末までに、県内の30〜60歳代の男性4人、女性4人の計8人が県警に被害を届け出た。
ほとんどの被害者は、SNSや、恋人を探す「マッチングアプリ」で知り合っていた。相手は、韓国や中国、シンガポールなどさまざまな国籍を名乗り、職業も医師や軍人などばらばら。やり取りは日本語が主流だが、同課は「わざと片言の日本語を使い、外国人を装っているケースもある」とする。
1か月ほどメッセージのやり取りを繰り返し、相手に恋愛感情や親切心を抱かせた後に、「荷物を送りたいので配送料を負担して」「将来を見据えて投資を始め、2人の金をためよう」などと指定口座への送金を要求する手口が多い。暗号資産(仮想通貨)や、代金決済のプリペイドカード(電子マネー)を購入させ、コード番号を求められる場合もある。
今年3月上旬、村山地方の60歳代女性は、外国人で国連の男性医師を名乗る相手とSNSで親しくなった。同月下旬に「500万米ドル(約5億4000万円)が入った金庫を預かってほしい」と言われ、配送の際にかかる保険料として指定された口座に約180万円を送金した。しかし、その後も「手数料がかかる」などと要求が続いたという。
庄内地方の30歳代男性は5月中旬、ネット掲示板を介して外国人女性を名乗る相手と親しくなり、外国為替証拠金取引(FX取引)への投資を勧められた。「姉はこの分野のアナリスト」「私は取引のたびに勝って、一度も失ったことがない」などと誘われ、5回に分けて約240万円を指定の口座に振り込んだ。
被害者は、金を送った後に相手と連絡がつかなくなったり、家族から指摘されたりして、初めてだまされたことに気づくという。
17日に業務上横領の疑いで小国署に逮捕された、総合商社代表取締役の容疑者(49)も国際ロマンス詐欺に遭っていたとされる。横領した会社の運営資金1400万円は、SNSで知り合った外国人の女を名乗る相手から持ちかけられた、金の投資話につぎ込んでいたという。被害届がなく、県内の8件には含まれないが、捜査関係者によると、自己資金を含め3000万円以上だまし取られたとみている。
同課の担当者は「恋愛話がもうけ話に切り替わって変だなと感じたら、一度立ち止まり、家族や警察に相談してほしい」と呼びかけている。
相談窓口は、警察相談専用電話(#9110)か、県消費生活センター(023・624・0999、平日午前9時〜午後5時)。