千葉・銚子市の沖合3kmに完成した洋上風力発電の風車

海に建てられた国内最大級の洋上風力発電の風車は、海面からの高さが126メートルと、レインボーブリッジの最も高い部分と同じ高さある。
海上に吹く強い風を安定的に利用できるため、期待がかかる洋上風力発電。
千葉・銚子市の沖合およそ3kmに完成し、22日に公開された。
国内最大級の洋上風力発電施設が、22日に公開された。
一般家庭1,200世帯分にあたる2,400kWの発電が可能で、2013年1月にも電力を供給する予定だが、目的はそれだけではない。
NEDOの和坂貞雄理事は「極力、民間の方々が興味がわくように、データをきちんと取っていきたい」と語った。
ヨーロッパなどでは、すでに導入が進んでいる洋上風力発電だが、気象条件が異なる日本で採算が取れるかどうか、参考にできるデータが今まではなかった。
風速や風向きを観測できる施設とともに、2年間運用し、維持管理コストや稼働率などのデータを公表することで、民間企業の参入を促したい考え。
今回完成した風車は、風速3メートルからでも発電が可能で、海上は陸上より強く安定した風が吹くため、1.5倍の発電量が見込めるという。
さらに、陸上風力発電の欠点である騒音や土地の制約もないなど、メリットは多い。
一方で、NEDOの和坂貞雄理事は「火力発電から比べると、かなり高い、2倍ぐらいのコストになってしまうという可能性もあると思うんですけれども」と話した。
海上での組み立て作業や、電気を陸へ送る海底ケーブルが必要となるため、コストが陸上風力発電の2倍かかる。
さらに、風車を海底に固定する着床式と呼ばれる方式を採っているため、漁業への影響も懸念される。
NEDOの和坂貞雄理事は「(どのくらいまでコストが下がれば実用化できる?)それは、難しいところがあると思います。そのへんについては、この実証実験を通じて、いくらの買い取り価格であればいいのかということも含めて、われわれはこれから算出していきたいというふうに思っております」と語った。
課題は多いが、それでも太陽光発電よりはコストがかからないため、期待は大きい。
経産省が、福島沖の建設プロジェクトを進めるほか、民間や自治体など、各地でも設置が検討されている。
着床式が設置できない、水深50メートル以上の場所でも設置可能な浮体式と呼ばれる洋上風力発電の研究も始まり、政府は2030年までに、原発8基分にあたる803万kWの電力を、洋上風力発電で賄う目標を立てている。
原発事故などで注目が集まる中、洋上風力発電に風は吹くのか。

タイトルとURLをコピーしました