半世紀、夜中にゴミ収集する街 市民満足度98%のわけ

■転勤族の「へぇ」

 その土地では当たり前の慣習。でも、引っ越してきた者には驚愕(きょうがく)の連続……。不思議なもので、当初は違和感を覚えた光景も、いつしか感嘆や得心へと変わっていくのです。転勤族でもある新聞記者が、福岡に引っ越してきた最初の頃に感じた「へぇ」を紹介します。

【写真】夜中にゴミ収集をする作業員=福岡市環境局提供

 「決められた日の日没から夜12時までに出して下さい」。福岡市のホームページには、ゴミ出しのルールについてこう記されている。ゴミ収集の時間は朝と決められた自治体が多い中、なぜ夜なのか――。

 市環境局によると、20政令指定都市のうち、市全域で夜間にゴミを収集するのは福岡市だけ。夜間収集が始まったのは1960年代。人口が増え、交通渋滞が深刻化していた。それを避け、作業効率を上げようと、交通量の少ない夜にごみを収集するようになったという。

 さらに効果はある。夜間はカラスが眠っている。だからゴミを荒らされることが少なくなった。暗い夜道を走るゴミ収集車は防犯にも役立っているそうだ。

 作業時の騒音に苦情が寄せられることもあるが、2017年度の市民アンケートでは満足度98%と、高い評価を受けている。(布田一樹)

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