新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が広がる南アフリカで、1日当たりの新規感染者数が減少傾向に転じている。15日に過去最多の2万6976人を記録したものの、22日は2万1099人だった。南ア国立感染症研究所は、最大都市ヨハネスブルクがあるハウテン州などで感染のピークを越えた可能性があると見ている。 【デルタ株は「最強」と呼ばれたが…変異株一覧】 南アは11月下旬にオミクロン株の感染を初めて公表。12月以降は感染者のほぼすべてをオミクロン株が占めているとみられる。従来のベータ株、デルタ株の流行と比べて急激に感染者数が増えている一方、重症化する人の割合は低い。病床にも余裕がある状態で、ロックダウン(都市封鎖)のレベルは強化していない。ラマポーザ大統領も12日にコロナ感染が明らかになったが、軽症で既に自主隔離を終えている。 また11月7日~12月18日に南アの病院で死亡した新型コロナ患者のうち、87%がワクチン未接種もしくは一部接種で、接種完了者(13%)を大幅に上回っていた。同研究所はワクチンが変異株に対しても一定の効果があると説明している。 南アではワクチン接種完了率は人口の約26%にとどまる一方で、人口の約3分の2を35歳未満が占めるなど若年層が多い。専門家は高齢者が多い先進国の感染拡大パターンは、南アとは異なる可能性もあると指摘している。【ヨハネスブルク平野光芳】