南三陸「山内鮮魚店」高台に移転、食堂併設初日から盛況

 東日本大震災で店舗や加工場が流失した宮城県南三陸町志津川の「山内鮮魚店」が10日、店舗を町内の高台に新築移転し、営業を再開した。地域おこしの旗振り役も担ってきた人気店とあって、復活を祝う大勢の客で初日からにぎわった。
 店は志津川商工団地に新築し、面積約160平方メートル。鮮魚以外に精肉、野菜、総菜など幅広い商品を扱う。町内の飲食店が津波で多数流失したため食堂も併設した。
 魚は近隣の魚市場や地元漁師から仕入れ、初日は志津川産のタコ、毛ガニ、気仙沼産のマグロ、石巻産のイカなどが並んだ。店内では、なじみ客同士が再会を喜び合う光景も見られた。
 山内鮮魚店は1949年創業。鮮魚やかまぼこの店が並ぶ志津川中心部の通称「おさかな通り」に店を構え、鮮魚の販売のほか、水産加工品の製造・販売を手掛けてきた。鮮魚店同士で観光誘客イベントを仕掛けるなど地域おこしの核も担ったが、被災で営業ができなくなった。
 近所の主婦星優子さん(61)は「震災後、町内に買い物できる店が少なく、登米市まで行っていた。近場で食品が買えて助かる」と喜ぶ。
 南三陸町の「福興市」実行委員長も務める社長の山内正文さん(63)は「街再生へ、少しでも早く再開したかった。後に続く店が出ることを期待している」と語った。

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