東日本大震災で被災した宮城県南三陸町が志津川地区に整備を進めてきた震災復興祈念公園が17日、一部開園した。震災から8年9カ月を経て、犠牲者に祈りをささげる場が完成した。
開園したのは全面積6.3ヘクタールのうち、志津川湾を望む高さ20メートルの築山に造った「祈りの丘」と「復興祈念のテラス」周辺の計1.2ヘクタール。津波に襲われ、町職員ら43人が犠牲になった町防災対策庁舎が骨組みのまま園内に立つ。
現地であった式典には約100人が出席。佐藤仁町長は式辞で「震災が起きたあの日から3203日、決して平たんな道のりではなかった。明日を生きたかった人たちの思いを忘れてはいけない」と述べた。祈りの丘に設けた石碑には、犠牲になった町民と町内で亡くなった人を合わせた804人の名前を揮毫(きごう)した名簿を納めた。出席者が花を手向け、海に向かって静かに手を合わせた。
全面開園は公園と南三陸さんさん商店街を結ぶ中橋が完成する2020年秋の予定。