南三陸の「今」VRで体感 コロナ下、オンラインツアー活況

宮城県南三陸町の一般社団法人「南三陸研修センター」のオンラインツアーが活況だ。昨年7月から展開し、これまで1500人以上が参加した。東日本大震災からの復興状況を仮想現実(VR)で体感できるコンテンツも新たに設け、新型コロナウイルス下でも被災地から学びを提供し続ける。
 今月25日のツアーには大正大など東京の4大学の学生14人が参加。事前に送られた専用ゴーグルを装着し、震災復興祈念公園内をVRで散策。43人が犠牲になった町防災対策庁舎や高さ20メートルの「祈りの丘」からの町並みを眺め、熱心に語り部の話に耳を傾けた。
 大正大1年の谷垣慶仁(けいと)さん(20)=東京都=は「自分が向いた方向の景色が見え、町の雰囲気がリアルな感覚として迫ってきた。コロナが落ち着いたら足を運んでみたい」と話した。
 研修センターは2019年度まで、大学や企業の研修旅行で年間約3000人が利用。まちづくりや防災など、復興へ歩む町から得られる学びを人間形成に役立ててきた。しかし、コロナ禍で昨年2月以降は全てキャンセルに。運営する宿泊研修施設「南三陸まなびの里いりやど」の利用も激減した。
 企業からの要望もあり、昨夏からオンラインツアーに力を注ぐ。口コミで新規も増え、今年8、9月は各10件以上の利用があり、受け入れ件数はコロナの流行前を上回る見込み。VRによる町内の山歩きや果物の収穫、ヨガ体験などコンテンツ充実も図る。
 研修センターの浅野拓也さん(33)は「VRは反応がよく手応えを感じる。震災10年となった南三陸から学ぶチャンスを、多様な形で創出していく」と話す。
 オンラインツアーの連絡先は研修センター0226(25)9501。

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