南三陸町は町災害ボランティアセンター(VC)を本年度限りで閉鎖することを決めた。東日本大震災直後の2011年3月26日に発足。他市町での閉鎖が進む中、県内で唯一活動を続けてきた。復旧が進んできたほか、高台移転の造成工事のため現在地での活動ができなくなることから判断したという。
災害VCは、町社会福祉協議会が町の委託を受け、町総合体育館駐車場に大型テントを設置して運営。9月末までに14万5148人のボランティアを受け入れた。がれき撤去や漁業復旧、仮設商店街への協力など多様な支援活動を調整。現在は農地復旧が中心で、8月に2016人、9月に1570人を受け入れた。
町保健福祉課の最知明広課長は「現在の中心を担う企業、団体のボランティアは、地域と関係を築いている。活動継続に問題はない」と説明。町社協には今後も、町外ボランティアの受け付けや町内ボランティアの育成を担ってもらう考えだ。
閉鎖による影響を懸念する声もある。町社協の猪又隆弘事務局長は閉鎖決定に理解を示しながら「復興にはまだ外部の力が必要。被災者はボランティアの存在を心強く感じている」と強調する。
避難生活の長期化で心のケアを必要とする被災者は多い。猪又事務局長は「自然災害の多発もあり、企業、団体では研修や視察を兼ねた被災地ボランティアへの関心が依然高い。受け皿がしっかりしていれば、交流人口の拡大や企業誘致にもつながる」と指摘する。
社会活動団体カリタスの千葉道生・米川ベース長は「VCは被災者と支援者を結ぶシンボルとして機能してきた。(支援活動の)参加者が減らないか心配。ボランティアの窓口は今後も維持してほしい」と求めた。
岩手、宮城、福島の各県社協によると、現在運営している災害VCは南三陸町と南相馬市小高区の2カ所となっている。