東日本大震災で被災した宮城県南三陸町戸倉地区の高台移転用地として町が取得を目指したものの、町議会で議案が否決された同町戸倉のゴルフ場開発跡地106ヘクタールを、楽天元副社長の本城慎之介氏(39)が購入し、町に寄付していたことが10日、分かった。
土地登記によると2011年12月に、所有する東京の投資会社から本城氏が土地を購入、26日に南三陸町に寄付された。同月下旬に都内で佐藤仁町長と面会した本城氏が土地を寄付する意向を示し、町が受け入れた。
町では同跡地を高台移転の住宅用地のほか、土地利用計画案に学校や公民館など被災公共施設の建設用地を盛り込むなど戸倉地区の中心市街地再生の核になると見込んでおり、寄付により復興計画の加速が期待される。
本城氏はインターネット仮想商店街「楽天市場」の創設に関わった。震災後はボランティアで南三陸町を訪れたほか、11年8月に開かれた「子ども夢花火」の資金確保のため、打ち上げる花火を楽天市場の仮想店舗で購入してもらうアイデアなどを提案した。
河北新報社の取材に対し本城氏は「多くの知り合いができた南三陸町は特別な場所。一日も早く日常を取り戻してもらうには何かできないかと考え寄付した。復興のため町民で議論して有効に使ってほしい」と話した。
同跡地は町が11年8月、投資会社から9300万円で取得する議案を町議会に提出したが、用途などの説明が不十分だとして議会が反発、議案を撤回した。再提出された議案も10月の町議会で「契約の経緯があいまいだ」などとして否決された。