(CNN) 南極の海氷面積が2年続けて過去最小を更新したことが22日までに分かった。一部の科学者らは大幅な減少を1つの兆候と警告。気候危機がここへ来て、より明確な影響を南極大陸に及ぼしている可能性があるとの見方を示した。 【画像】ポーレット島のアデリーペンギン 南極周辺の海氷の面積は今月13日、191万平方キロにまで減少した。米国立雪氷データセンター(NSIDC)が明らかにした。昨年2月25日に記録した過去最小の192万平方キロを下回った。 海氷は今後一段と縮小するかもしれない。南半球の夏において海氷面積が最小レベルに達するのは、13日からさらに1週間以上後になる可能性があるためだ。 衛星による海氷の監視を開始した1978年以降、海氷面積が200万平方キロを割り込んだのは昨年と今年の2度しかない。 米コロラド大学ボルダー校の氷河学者、テッド・スカンボス氏はCNNの取材に答え、「『ぎりぎりでの記録更新』などでは全くない」「極めて急激な縮小傾向にある」と指摘した。 海氷の減少する割合が気候変動の加速とかなり一致して推移する傾向にある北極と異なり、南極の海氷面積は増える時もあれば減る時もある。そのため南極大陸と周辺の海洋については、地球温暖化にどう反応しているのかを見極めるのがより難しくなっている。 2つの極地域には大きな違いがある。北極が複数の大陸に囲まれた海洋であるのに対し、南極は海洋に囲まれた大陸のため、周辺の海氷は他の大陸に阻まれることなく外側へと拡大していく。南極の氷は北極より薄くなる傾向があり、冬に大幅に増大する一方、夏には急激に縮小する。 南極の海氷面積は2014年に過去最大の776万平方マイル(約2009万平方キロ)を記録。これは南極が比較的地球温暖化の影響を受けにくいとする考え方を裏付けたように見えた。 しかし16年、科学者らは海氷が急激に減少する傾向を目にすることになる。当初は南極の複雑かつ多様な気候システムがもたらす変動性に原因があるとみられていたが、2年連続で最小が更新されるに至り、科学者らは懸念を抱いている。 「問題は以下の点だ。気候変動が南極に到達したのか? これは終わりの始まりなのか? 今後も夏は海氷が永遠に消え去ることになるのか?」。独アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所で海氷物理学部門を統括するクリスチャン・ハース氏はCNNの取材に対してそう述べた。 海氷面積がこれほど減少したのには風や海流、海洋熱など複数の要因が絡んでいる可能性がある。また南極の地域によっては、気温が長期平均と比較して1.5度上昇しているケースもある。 さらに重要な考察は、南極を取り巻く偏西風帯だ。南極振動として知られるこれらの風は海氷の融解を促すことがあり、NSIDCによれば、その勢力は従来の水準を上回っている。また気象条件への影響として、温かい空気を地域にもたらす作用も及ぼすという。 スカンボス氏によると、海面直下に閉じ込められた熱が原因で海氷が融解していることも考えられる。基本的に南極周辺の海水の上層には熱が流れ込んでおり、これが全体的な海洋の温暖化に関係あるとすれば、南極の氷床の安定性にも大きな影響をもたらすと、同氏は分析する。