南海トラフ、気象庁が毎日夕方に震源域の状況を説明へ…日向灘の地震の負傷者は14人に

南海トラフ地震の発生可能性が平時より相対的に高まっているとして、気象庁が8日に出した同地震の「臨時情報(巨大地震注意)」について、同庁は9日から1週間、毎日夕に、地震活動の状況を説明する「関連解説情報」を発表する方針を明らかにした。注意の対象となった地域では、電車の運休や海水浴場の閉鎖などの対応も見られた。 【地図】南海トラフ地震の想定震源域と今回の地震の震度

(写真:読売新聞)

 同庁は、8日夕に宮崎県沖の日向灘で起きたマグニチュード(M)7・1の地震を受け、同日夜に臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表。注意の対象は茨城から沖縄までの29都府県707市町村で、少なくとも1週間程度は地震への備えを再確認し、地震が発生したらすぐに避難するための準備をするよう呼びかけている。

 関連解説情報は、臨時情報に続いて同庁から発表されることになっており、想定震源域での地震や地殻変動の状況について説明する。

倒壊した家屋(9日午前、鹿児島県大崎町で、読売機から)=桐山弘太撮影

 同庁によると、日向灘の震源付近では、地震活動が活発な状態が続いている。最大震度6弱だったM7・1の地震も含め、震度1以上の地震が9日午前10時時点で計14回観測されている。

 最大震度6弱が観測された宮崎県は、9日午前10時から災害対策本部会議を開催。臨時情報を受け、備えの再確認などを注意喚起する方針を確認した。河野俊嗣知事は「注意喚起をいろんな形で繰り返し行うことが必要だ」と述べた。

 三重県内を走行するJR東海の特急「南紀」(名古屋―紀伊勝浦)や、近鉄の特急(五十鈴川―賢島)は1週間程度、運休することになった。

 東海道新幹線は8日夜から、三島(静岡)―三河安城(愛知)間の上下線で速度を落として運行している。今後1週間程度は続ける予定で、少なくとも10分以上の遅れが見込まれるという。JR東日本や小田急電鉄も、一部区間で徐行運転を実施している。

 南海トラフ地震に伴う津波が数分で到達する恐れがある和歌山県白浜町は9日、白良浜など町内全ての海水浴場を閉鎖した。閉鎖期間は1週間程度の予定だが、今後の状況を見て判断する。10日に白良浜で実施予定だった花火大会の中止も決まった。

 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)では、巨大地震注意の発表後、24時間の待機体制に入った。発電所内の巡視や可燃ガス、重油などの貯蔵施設の点検、工事現場の安全点検などを続けている。

 読売新聞のまとめでは、8日の日向灘の地震による負傷者は9日午前10時現在、宮崎県8人、鹿児島県4人、熊本県2人で九州で計14人に上った。鹿児島県で住宅1棟が全壊するなど、鹿児島、宮崎両県で10棟の住宅被害が確認された。

 宮崎県内では道路が隆起したり、亀裂が入ったりする被害も出ている。同県日南市では沿岸部を走る国道220号で斜面から大きな岩が落ち、周辺が通行止めになっている。

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