博報堂が遊休資産となっていた神田錦3丁目の旧本社跡地に、共同ビルを建設するための工事を開始した。
’15年3月には竣工する予定。だが、これを冷やかな目で見ているのがTBSである。
TBSが赤坂本社内に保有する2番目の高層ビル『Bizタワー』の約4割を占めるテナントが博報堂系関連会社なのだ。博報堂DYホールディングス、博報堂DYメディアパートナーズなどである。
そんな大口テナントに一気に出ていかれたら減収につながり、その後釜探しも面倒この上ない。
博報堂DYHDの場合は、業績にムラがあるせいか、固定費節減で引っ越しの可能性は大いにあり、以前から噂もあった(最終的にはまだ未定)。
ちなみに’12年3月期は1兆550億円、経常利益が291億円、’13年3月期見込みは、1兆800億円、経常利益が310億円と好調。だが’11年4~6月期は赤字になるなど、景気に即左右され、屋台骨が揺らぐこともしばしばだった。
「博報堂関連会社のBizタワーの年間家賃が推定約60億円。負担ではないといえば、嘘になります。それに今度建つビルはけっこう余裕がある。だから、新本社ビルへ移る可能性は高い」(広告業界紙記者)
くわえて、博報堂にはBizタワーの不便さも問題だった。あまりにも警備が厳重で、外部からふらっと入っていける状態ではない。
前日から“予約”する必要まであるから厄介だ。
では、博報堂が建てるビルとはどういうものか。
地上17階、地下2階でまわりに土地を持つ企業との共同建設。住友商事、三井住友海上火災保険、大修館書店、安田不動産、そこに博報堂が加わる。
電通、博報堂、アサツーデイ・ケイ(ADK)の広告業界BIG3で、本社ビルを保有しないのが博報堂とADKの2社だった。しかし、消費税導入がらみで、このところ建設ラッシュだ。
電波不動産屋と呼ばれてきたTBSも、環境変化に備え、力を入れる業種の切り替えを迫られている。