印刷業者がクラフトビール製造に参入 宮城・川崎に醸造所新設、7月販売へ 看板商品はIPA

印刷業やホームページ制作を手がけるハイパーグラフィック(仙台市)は、クラフトビールの製造販売に乗り出す。宮城県川崎町に醸造所を新設。敷地周辺の森林の木材を燃料とするボイラーを製造工程で活用するなど、環境面に配慮したビール造りを目指す。7月から県内の酒販店やECサイトで販売する。

 鈴木和博社長(66)の出身地に新設した「ForestBrewing(フォレストブルーイング)醸造所」は鉄骨平屋で床面積272平方メートル。ビール醸造所で勤務経験のある男性1人を採用し、5月から本格的に稼働している。

 ホップの香りが強く、深い味わいがあるIPA(インディア・ペールエール)を看板商品とし、ピルスナーなど5種類も販売する予定。1缶330ミリ入り、価格は550円から。売れ行きを見ながら商品を20種類以上に増やす計画もある。

 鈴木社長は「川崎町の活性化にも寄与できる。県内のイベント会場などでも販売し、知名度アップにつなげたい」と意気込む。

 クラフトビール事業への参入は、鈴木社長が川崎町で林業に関わったことがきっかけとなった。

 仙台でハイパーグラフィック社を経営しながら、実家が営む林業に2012年から携わり、20年に暖房用のまき製造を始めた。大型の製造機器を導入するため、製造元のオーストリアを訪問し、現地のビール文化に触れたことが、新事業の構想につながった。

 21年9月、まきを製造していた敷地約9270平方メートルをハイパーグラフィック社の関連会社が取得し、醸造所を建設した。今年9月中にも醸造工程で使うボイラーを更新し、燃料にまき製造で発生した端材を活用する。ボイラー導入費約300万円は、クラウドファンディングで確保した。

 醸造設備をはじめとする初期費用は、新型コロナウイルス禍の中小事業者の新分野進出を支援する国の補助金を活用した。仙台銀行から補助金申請の支援を受け、同行と日本政策金融公庫による協調融資も受けて各種設備を導入した。

タイトルとURLをコピーしました