危機迫るサンマ資源=日本の漁獲、最低水準に

北太平洋のサンマの資源量が減少している。

 海洋環境の変化や乱獲が原因とみられる。日本も不漁が続いており、卸値はこの10年で一時倍近くに上昇。野放図な漁に歯止めをかけなければ、サンマは価格高騰を通り越し、枯渇する可能性さえある。

 かつて北太平洋でサンマを取っていたのはロシアなど一部を除けば大半が日本だったが、2000年代初頭から台湾、次いで中国が台頭。逆に最盛期に50万トンを超えていた日本の漁獲量は、17年に8.4万トンと「過去半世紀で最低」(水産庁)となるなど、ここ数年は低迷している。

 近海での日帰り操業が主流の日本に対し、台湾や中国は冷凍設備のある大型船で公海まで出向き、大量捕獲する手法。これまでサンマ食が一般的でなかった中国でも、手ごろな食材として急速に消費が拡大しているという。

 15年には乱獲を防ぐ国際ルールを作るため、北太平洋漁業委員会(NPFC)が発足。沿岸漁業が中心の日本、ロシア、遠洋漁業の中国、台湾、韓国、バヌアツ、そして水産資源の保護に関心を持つ米国、カナダが参加している。

 しかし各国の意見対立により、18年までサンマの漁獲枠導入は見送られ続けた。その間にも資源状況は悪化。今年4月のNPFC科学委員会では「17年の資源量は1980年以降で最低の水準にある」との認識で加盟全8カ国・地域が初めて一致した。 

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