宮城県大崎市古川の志波姫神社で、かつて厄よけの守り札を刷るために使われた「角大師(つのだいし)」の版木が見つかった。神社は新型コロナウイルスの感染収束を願って新たに守り札を刷り、氏子に配る予定だ。
版木の大きさは縦22センチ、横12センチ。頭に角が2本あり、骨と皮が浮き上がった鬼の姿をユーモラスに描く。
神社は765年の創建と伝えられる。工藤順司宮司(84)が4月末ごろ、境内で保管していた木箱を整理中、「疫病退散」と文字を彫りつけた細長い版木と共に見つけた。制作年代は不明。多くの守り札を刷ったらしく、すり減っていた。
角大師の信仰は平安時代、天台宗の高僧・良源が、鬼の姿に変わって疫病を退治した伝説に基づく。江戸時代や明治・大正期、全国で守り札が盛んに販売されたという。
工藤宮司は「コロナが流行する年に見つかったのは何かの縁かもしれない」と話す。約200枚を刷り、9月の例祭で氏子たちに配る。