厚労省「エボラ出血熱は『空気感染』しません」 誤情報拡散で注意呼びかけ

エボラ出血熱(エボラ熱)に感染した疑いがある患者がいると厚生労働省が2019年8月4日に発表し、検査の結果、同日中に陰性であることが確認された件をめぐり、インターネット上で一時的に誤情報が拡散される騒ぎがあった。

 一部ユーザーがエボラ熱は「空気感染するみたい」などと発信したのだ。だが実際には、厚労省や官邸が感染経路として「空気感染はしません」と呼びかけている。

■「一般的に、症状のない患者からの感染や、空気感染はしません」

 厚労省の発表によると、コンゴ民主共和国に滞在歴がある埼玉県在住の70代女性が3日、発熱の症状を呈した。エボラ熱感染の有無を確認するため東京都の医療機関に入院し、患者の検体を国立感染症研究所で検査しているとした。同省は同日中に、この女性についてエボラ熱の遺伝子検査(PCR検査)をした結果、「15時00分に陰性であるとの結果が得られました」と発表した。

 感染研ウェブサイトによると、エボラ熱は00年以降もアフリカ大陸でアウトブレイク(集団感染)が発生しており、コンゴ民主共和国では18~19年に927例を確認、致命率は63%に達したという。世界保健機関(WHO)は7月、同国でのエボラ熱流行について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態だ」と宣言している。

 今回の感染疑いはインターネット上でも大きな注目を集め、ツイッターでは話題のワードを表す「トレンド」にも「エボラ出血熱」が入った。ただその中で「空気感染もするみたいです」「空気感染する上位での感染だったら」などという書き込みがツイッターで見られたことで混乱もきたした。万単位のフォロワーを抱えるユーザーも発信しており、一定の拡散を見せることになった。

 エボラ熱について解説する厚労省ウェブサイトでは、感染経路として「エボラ出血熱の患者(エボラウイルスに感染し、症状が出ている者)の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)やその体液等に汚染された物質(注射針など)に触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します」とした上で、

  「一般的に、症状のない患者からの感染や、空気感染はしません」

と空気感染を否定している。

「正しく知って、正しくおそれる」

 首相官邸(災害・危機管理情報)(@Kantei_Saigai)のツイッターも4日、この厚労省の説明を引用して投稿した。一般ユーザーからも、これらの情報をもとに「空気感染は『しません』」と注意喚起する投稿も複数みられる。

 厚労省健康局結核感染症課の担当者は5日、J-CASTニュースの取材に「空気感染や飛沫感染はしません。私どものウェブサイトでエボラ熱に関する情報等を掲載しておりますので、まずはこれを確認していただければと思います」とし、

  「この病気は罹患したら死に至ることもある危険な感染症ですが、ウイルスを持っている動物や患者の方に接触しない限り、容易に感染するものはありません。正しく知って、正しくおそれることが重要です。不用意に心配するのではなく、正しい理解のもとに行動していただければと思います」

と話した。

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