厚生年金、パートやアルバイトら加入時の企業規模要件を撤廃…政府方針

政府は、パートやアルバイトなどの短時間労働者が厚生年金に加入する際の企業規模の要件を撤廃する方針を固めた。撤廃で生じる企業の負担について支援策を今後検討する。働き方の違いで不公平が生じない制度にし、適用する労働者を増やして老後の所得保障を厚くする狙いがある。

厚生労働省

厚生労働省© 読売新聞

 複数の政府関係者が明らかにした。厚生労働省の有識者懇談会が近く、撤廃の検討を求める報告書をとりまとめる予定で、政府はこれを踏まえて撤廃とそれに伴う制度設計を検討し、来年の通常国会に関連法案を提出する。

 現行制度では、短時間労働者が厚生年金に加入するには、勤務先の企業が「従業員101人以上」(今年10月からは51人以上)であるほか、月額賃金が8万8000円以上、週の所定労働時間が20時間以上――などを満たす必要がある。これらのうち政府は企業規模要件の撤廃を優先する。同省の2019年の試算では撤廃で新たに約130万人の加入者が増えるとされる。

 厚生年金の保険料は労使折半のため、撤廃で適用者を新たに抱える企業側は費用や事務作業が増えることとなる。懇談会のとりまとめには、企業負担への配慮の必要性が盛り込まれる予定で、政府は具体策を検討していく。

 一方、企業とは別に、従業員が5人以上いる個人事業所の場合、飲食サービス業や宿泊業はフルタイムで働く従業員がいても厚生年金適用の対象業種となっていない。政府はこの非適用業種も「解消」し、加入者を増やす方向で調整する。

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