厚生労働省は28日、企業年金の一種である厚生年金基金制度を10年後に廃止する方針を固めた。
厚生年金の一部を国に代わって運用する「代行部分」の積み立て不足分は、基金の加入企業に返還を求めるが、返還しきれない分は厚生年金の保険料で穴埋めする。
同省は11月2日に開く社会保障審議会年金部会の専門委員会にこうした改革案を示す。年内にも成案をまとめ、来年通常国会に必要な法案を提出したい考えだ。
改革案には、基金を解散しやすいよう、加入企業が共同責任を負う連帯保証制度の廃止や返還額の減額なども盛り込む。ただ、積み立て不足分の負担を基金と無関係な厚生年金加入者に求めることには反発も予想される。
厚生年金基金制度を巡っては、運用難で保有資産が国から借りている分を下回る「代行割れ」が相次いでいる。AIJ投資顧問の年金資産消失問題では、同社に資産を預けていた基金が大きな被害を受けた。