日本原子力研究開発機構は22日、ポーランドが進める次世代原子炉「高温ガス炉」の実験炉の建設計画に参加する取り決めを同国立原子力研究センターと交わした。原子力機構が原子炉の基本設計などの独自技術で協力し、ポーランドは2020年代後半の完成を目指す。
高温ガス炉は、炉心の核燃料から出る熱をヘリウムガスで取り出して発電する原子炉。700度超の熱を生み出し、その高熱を発電だけでなく、水素の製造などに産業利用できる特長がある。
電力を石炭など化石燃料に依存するポーランドは、高温ガス炉に注目。19年5月に、実験炉「HTTR」(茨城県大洗町)での豊富な研究実績がある原子力機構と同センターが共同研究に関する取り決めを結ぶなど、2国間でデータ共有や人材育成を進めてきた。
両機関は今回、取り決めを改定し、同センターがセンター敷地内に建設を計画する実験炉(熱出力3万キロ・ワット)の基本設計で技術協力することに合意した。原子力機構は今後3年にわたり、基本設計のほか、燃料製造や安全対策などの関連技術を計約4億円で有償提供する方針だ。
高温ガス炉を巡っては、同機構は英国での開発計画にも参加している。海外への高温ガス炉の売り込みを視野に、国際競争力の強化を図りたい考えだ。