原料6割輸入 人工栽培探る 漢方薬も脱中国

漢方薬メーカーなどの間で、6割程度を中国からの輸入に依存する原料の薬草が「第2のレアアース(希土類)になりかねない」との不安が高まっている。レアアースと同様、中国は輸出制限に乗り出しており、今後、全面禁輸の可能性も否めないからだ。人工栽培による“脱中国”を目指す動きも出てきた。
 乱獲を食い止める目的で中国は約10年前から野生品の薬草の採取や輸出を制限。すでに一部の輸出を停止している。背景には、経済成長で中国国内の漢方薬需要が急増している面もあるという。
 生薬を輸入・販売する大阪の専門商社、栃本天海堂によると、漢方薬の約7割に使われる「甘草(カンゾウ)」の輸入価格は平成17年の1キロあたり2ドル(約161円)から7・43ドル程度に高騰、同社は「買い付けを見送った品種もある」と話す。
 こうした中、大手ゼネコンの鹿島は独立行政法人医薬基盤研究所や千葉大学と甘草の人工栽培に成功。水耕栽培技術を使って4年かかる収穫期間を1年半程度に短縮できるようにした。三菱樹脂とベンチャー企業のグリーンイノベーションも甘草の人工栽培の技術開発に着手。2年後に事業化したい方針だ。
 中国が薬草輸出を全面的にストップしかねないことに加え、国内の漢方薬市場の成長を視野に、ツムラも今秋、北海道夕張市に設けた栽培・加工拠点で薬草の一種「川●(センキュウ)」の収穫に乗り出した。
 ただ、薬草栽培や加工は手間がかかるほか、コストに見合わないといった問題もある。関係者は「レアアースと同様、国際的な争奪戦になる可能性が高い」と指摘している。

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