テレビ各局が大詰めを迎えた安全保障関連法案の審議を報じる中、反対意見に終始する報道番組が目立っている。アンカー自ら「廃案」を訴えたり、賛成意見をほぼ黙殺したりする番組もあり、スポンサー辞退を表明する動きも出ている。
「どうも日本の民主主義の将来は暗い」。17日夜のTBS系「NEWS23」では、アンカーを務める毎日新聞の岸井成格(しげただ)特別編集委員が語気を 強めた。16日には河野洋平元衆院議長が与党の対応を批判したインタビューを放送。岸井氏は「メディアも廃案に向けて声を上げ続けなければいけない」と強 調していた。
16日のテレビ朝日系「報道ステーション」では、古舘(ふるたち)伊知郎キャスターが「平和安全法制というネーミングが正し いのか、甚だ疑問だ」などと述べながら国会から中継。抗議活動を詳しく報じ、スタジオのコメンテーター2人が法案の問題点を指摘した。この報道を受け美容 外科「高須クリニック」の高須克弥院長はツイッターで「失望しました。(同番組の)スポンサーやめます」と表明。今月末でCM出稿を打ち切るという。
放送法はテレビ局に「政治的公平」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ことを義務付けている。民放連の 井上弘会長(TBS会長)は17日の定例会見で「各社が使命感を持って対応していると思う。個々の番組への論評は差し控えたい」と述べた。
NHKは総合テレビで同日、参院特別委を中継。午後には委員長の不信任動議の賛成討論で、野党議員が演説する様子を4時間近く放送した。3時12分から大相撲を中継予定だったが4時頃から一時Eテレで放送。NHK広報部は「総合的に判断した」としている。