このところ、何かと話題になっている人気クチコミグルメサイト「食べログ」。当サイトでも以前、店舗側による不正指弾ツイートについて報じたが(※記事参照
)、またしても飲食店から悲鳴の声が上がっている。
今回「食べログ」に反旗をひるがえしたのは、有楽町にあるトルコ料理店。ことの発端は、同店に再三かかってくる「食べログ」の営業マンからの、「有料店舗会員にならないか」というセールス電話だった。
「実際に私共も、お宅のお店さんに伺って口コミを書かせてもらいますから、結果、ポイントも上がり、順位を上げることも可能ですよ」「よい口コミを、ページの目立つところに配置し、悪い口コミを目立たない場所へと置き換えることもできます」などと、”公平な口コミサイト”というウリとはほど遠い”やらせレビュー”や、不正行為を助長する誘い文句をチラつかせていたという。
何度断っても電話がかかってくるため、「食べログ」内の同店PR画面に、「食べログさんからは有料プランへのお誘いを再三頂き、好きな口コミが選べる、食べログ社員さんの来店と口コミで点数アップさせます、という魅力的なお話ですが、やはり当店は実力で頑張ります。無料プランで、ごめんなさい」とアップしたところ、それがネット上で話題になり、それを見た「食べログ」を運営するカカクコム社からの抗議電話があったという。
カカクコム側の言い分としては、「当社の人間にそのような誘い文句を言う者はいない」「口コミを操作したり、点数を上げてやるといった誘いで有料店舗会員を募るようなセールスの仕方をしないように、常に代理店には指導している」「自分たちこそ被害者だ」というものだった。
カカクコムの主張を額面通りに受け取れば、「食べログ」の営業マンを騙る者が、掲載されている店に”勝手に”営業電話をかけて詐欺行為を働いているということになるが、「食べログ」はこうした”被害”にどう対処していくのだろうか。この件について、カカクコム社に問い合わせたところ、以下のような回答があった。
「代理店から短いスパンで繰り返し営業の電話をかけるような指導はもちろん行っておりません。また、弊社代理店が飲食店様に営業を行う際には、必ず代理店名をお伝えするようにしております。さらに、代理店に対しては営業活動に関して、(1)ユーザー、レビュアーに誤解を与える可能性の大きいサービス提供、(2)その他、飲食店様へご迷惑のかかる営業活動、(3)弊社商標を目的外で利用し、顧客接触する行為、(4)弊社商標を利用し、内容の断りなくホームページや広告で発信を行う行為、などを禁止行為として設定しています」(カカクコム広報室)
また、このトルコ料理店へ電話をかけた代理店の行為はカカクコム社の”業務妨害”ということになる。この代理店に対し、法的な手段を取る可能性はあるかという問いに対しては、
「これまでも不正業者に対しては厳正に対処してきており、今回もそのような事実が確認できました際には、同様に対処してまいります。また、弊社代理店を装う業者が存在することに関して、弊社として、サイト上に正規代理店一覧を掲載、注意喚起するとともに、会員店舗様には別途メルマガ等での注意喚起も行っております」
との返答だった。しかし、不正業者に対して具体的にどのような対処をしているのか、さらにこのトルコ料理店に対し、相手の電話番号や通話記録の録音提出を求めたのかどうかについては、「回答については控えさせていただきたい」とのことだった。
実際、飲食店にとって「食べログ」の影響力は大きく、代理店偽装トラブルは後を絶たないという。ネット上にはそうした「食べログ」の体質改善を求める「食べログ被害者の会」も立ち上がり、同サイトへの「掲載拒否」店も増え続けている。また最近では、バイトの面接で不合格になった学生が逆恨みして悪い点数をつけたり、「食べログ」を脅し文句にクレームをつける客が出てくるなどのトラブルも続出しているという。
「巨大化した口コミサイトの泣きどころです。”食べログの営業”を騙る詐欺行為ではなくとも、掲示板や口コミサイトの書き込みを代行する業者は無数にありますし、そうした業者の書き込みと純粋なユーザーレビューとを判別する具体的な方法はありません」(グルメライター)
そんな中、「食べログ」に対抗するかのように、この10月から大手グルメサイト「ぐるなび」も口コミによる採点ランキングの掲載を始めた。”ネット上の口コミ”という評価基準は決して万能ではなく、その有用性についての議論は今後も続いていくことになりそうだ。