古市憲寿氏 ジャニーズ性加害問題を受け芸能界の課題指摘「破壊を求めるだけじゃ変わらない」

社会学者の古市憲寿氏(38)が11日「X」(旧ツイッター)を更新。ジャニーズ事務所の性加害問題を踏まえ、長文で芸能事務所の課題をについて長文投稿した。  性加害問題の影響は現在所属タレントにも及んでおり、古市氏はジャニーズ事務所問題で『事務所を出ればいい』という意見を見かける。もちろん移籍・独立したい人を邪魔するなんてことがあってはいけない。事務所としても応援するくらいでもいいと思う」と移籍・独立に理解を示した上で「ただ『タレント』や『芸能人』は表に出ている本人だけで成立している訳ではない。そのことを忘れている人が多い気がする。ジャニーズ事務所の話というよりも、一般論として書かせて下さい」と前置きした上で「10年くらい、自分では事務所とかに入らずに、エンタメの世界を端っこから見てきた人間の雑感です」と投稿の意図をつづった。  古市氏は特に裏方の重要性を指摘し「『タレント』の裏側にはマネージャーをはじめとした膨大なスタッフがいる。もちろん本人に才能があることは大前提。だけど、裏方が優秀というのは、世間で思われている以上に、本当に本当に大事」と持論を展開。  続けて「自分1人で出役からプロデュースまでこなせる、すごい才能の持ち主もいる。でもそんなスターは中々いないし、いたとしても、学習能力・吸収能力が高いということなので、はじめから全てができているわけじゃない」「どのドラマ・映画に出るかを決めるだけでも、脚本を読む力が必要になる。僕の感覚でいうと、脚本を読める(物語の出来を判断したり、ヒットを予測できる)マネージャーなんて、本当にごく一部しかいない」とマネージャーの能力の重要性を強調した。  裏方には新曲をリリースする際のプロデュース力やどんなスタイリストを選ぶかも専門知識も必要だとし「どの事務所でも、マネージャーの能力は、本人が売れることと大きく関係している」とも解説。  さらに「クリエイティブなことから、日常の事務作業まで、エンタメの世界は無数の暗黙知や形式知の積み重ねで成立している。大手芸能事務所は、当たり前だけど、ただ圧力をかけることで、今の立場を手にしたわけではない(圧力や忖度がなかったとは言わない)」と指摘した上で「他の事務所も完璧ではない。移籍すれば済むという簡単な問題じゃない。またその移籍先の事務職に大きなトラブルがあったら、また移籍しろっていう話になる。パンドラの箱は開けられてしまったので、きっと色々な話が出てくるのでしょう」と今後他の芸能事務所からも問題が噴出する可能性があると予想。  続けて「今の芸能事務所という仕組みが最高だとは思わない。でも社会と同じで、全てはすぐには変わらない。破壊を求めるだけじゃ、実際は何も変わらない。わかりやすい解決策に思えるものが、実は全然解決策ではない、という想像力も必要なのではないかと思って、少し長文ですが書いてみました」とし、ジャニーズ事務所を壊すことよりも、芸能事務所の環境の再構築やマネージャーらの優れた裏方を育てることの重要性を強調した。

東スポWEB

タイトルとURLをコピーしました