古文書で浸る青根温泉500年 不忘閣で展示

宮城県川崎町青根温泉の老舗旅館「不忘閣」は、館内にあった青根温泉の歴史を紹介する古文書の展示を始めた。仙台藩祖伊達政宗の湯治場として知られている が、文書で実態が明らかになるのは初めて。宮城、山形両県にまたがる蔵王山(蔵王連峰)への火口周辺警報も解除され、温泉関係者は「500年の歴史がある 青根に足を運ぶきっかけにしてほしい」と期待する。
江戸時代から明治期にかけての古文書が中心で、NPO法人「宮城歴史資料保全ネットワーク」や東北大東北アジア研究センター上広歴史資料学研究部門の担当者がひもといた。約20点が説明文と一緒に、国の登録有形文化財となった御殿棟に並ぶ。
1612(慶長17)年の「仙台藩奉行人連署状」は最古の文書とみられる。仙台藩領内の温泉税は、青根温泉を管理する湯守が一括して納めたとの記述があり、ほかの温泉地を含め青根の湯守が領内全体を代表していたことが読み取れる。
5代藩主伊達吉村の青根温泉訪問や、「おもてなしの精神を大切にせよ」と温泉経営の教えを記した内容もある。調査した東北大の高橋陽一助教は「青根温泉の歴史の実像が見える貴重な資料だ」と指摘する。
青根温泉は蔵王山から約8キロ。4月13日に発令された火口周辺警報は6月16日に解除されたが、減少した宿泊客の回復には至っていない。不忘閣のおかみ佐藤真由美さんは「古文書につづられた遠い昔に思いをはせながら温泉を楽しんでもらいたい」と話した。
見学は無料。宿泊客以外の見学は事前の連絡が必要。連絡先は不忘閣0224(87)2011。

タイトルとURLをコピーしました