台湾の半導体関連企業などでつくる「台湾高科技廠房設施協会(HTFA)」のメンバーが17日、仙台市青葉区の東北大片平キャンパスを訪れ、研究施設を視察した。電子技術「スピントロニクス」などの先端技術や、最新の研究環境について東北大の研究者が説明し、将来的な技術連携も視野に意見を交わした。
HTFAは半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)、米マイクロン・テクノロジーの台湾法人など約140社・団体が加盟する。今回は林育業理事長(帆宣系統科技社長)ら19人が来仙した。
電気通信研究所のナノ・スピン実験施設では、スピントロニクスによる半導体デバイスの省エネ化、未利用高周波帯のテラヘルツを研究者が解説。各設備を案内し、基礎研究から企業連携まで学内で一貫して実践できることを伝えた。
林理事長らは視察に先立ち、宮城県庁で村井嘉浩知事と懇談。知事は台湾の受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスによる同県大衡村への工場建設や、東北大発スタートアップの活躍に触れ「ぜひ宮城県に工場を。企業とのマッチングも手伝う」などとアピールした。
一行は18日、青葉区の東北大青葉山新キャンパスの次世代放射光施設ナノテラスや、近隣の東北大マイクロシステム融合研究開発センターを巡る。
林理事長は「東北大の技術は将来の社会貢献を見据えている」と評価。「互いに交流を深め、信頼関係を築き、ビジネスへの発展も考えたい」と展望した。